株式会社 神戸製鋼所
社長 熊本 昌弘 殿
1996年11月19日 |
石炭火力発電所問題を考える
市民ネットワーク |
代表 藤田 晃 |
神戸市中央区中町通3−1−16 (078)371-4560 fax371-4559 |
石炭火力発電所計画に関する申入書
貴社が電気事業法改正の下で、電力卸供給事業に参画すべく、神戸市灘区で140万Kw(70万Kw2基)の発電設備を設置することを前提に計画している件については、地元住民はもとより、震災から立ち直り21世紀にふさわしいまちづくりを希求する神戸・阪神の住民の重大な関心事です。
貴社の発行パンフ「新生神戸製鉄所をめざして〜発電設備設置計画(案)のあらまし」には、検討手順として、「周辺環境の現況を1年間にわたり調査」し、「調査結果をもとに、当計画を実施した場合の環境への影響を予測・評価」し、「環境への影響が懸念された場合、計画を修正」した上で、「検討結果を『環境影響評価書(案)』等にとりまとめる」との方針を明らかにしています。
しかし残念ながら、「地域の皆様のご意見」は、『環境影響評価書(案)』等の縦覧の段階まで先送りされています。
現在、国においては環境影響評価制度の法制化に向けた検討をすすめており、中央環境審議会による公聴会も実施されたところですが、国が設置した研究会(環境影響評価制度総合研究会)がまとめた報告書においても、計画アセスとスコーピング(評価項目の選定)への住民参加を導入する方向が鮮明に打ち出されています。すでに兵庫県下でも、尼崎市等でスコーピングに関する縦覧と住民意見の聴取を行っています。
「地域社会との共生・融和」を基本理念とされる貴社としては、このような動向をふまえ、計画内容やスコーピングに関する情報を地域社会に対して開示し、住民等の意見を聴取・反映する場を設定することがしかるべき対応かと存じます。
とりわけ、周辺環境の現況に関する認識は、適正な評価を行う上できわめて重要です。しかしながら、貴社パンフでは「神戸製鉄所による周辺環境への影響を現状より低減するように計画いたします。」として例示した各種大気汚染物質排出量の「現状」は、注釈にあるように「神戸製鉄所の現状の許容排出量(届出値)」であって、現在排出している量とは違うものになっています。このような配付資料が、地元住民の懸念を一層拡大しています。
このような状況をふまえて以下のことを申し入れます。
記
- 神戸・阪神地域の環境の現況についての認識をお聞かせ願いたい。
とりわけ、本年6月開始とされている「周辺環境の現況を1年間にわたり調査」について、その調査項目・内容等を開示されるとともに、住民意見の聴取を行うこと。
- 発電設備設置計画(案)について、その前提となる基本方針のあり方を含めて、「地域社会との共生・融和」の観点から意見交換する場を設定していただきたい。
とりわけ、臨海地域の今後のあり方、当該地における事業展開の選択肢としての電 力卸供給事業および石炭火力発電という選択肢の評価等、貴社の考え方に関する説明と、 私どもとの忌憚のない意見交換を求めるものです。
以上の要望事項について、貴社の誠実なご回答をお願い申しあげます。
以上
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