火力発電所問題全国交流集会アピール

 阪神淡路大震災で未曾有の被害をうけた神戸で、神戸製鋼が企業の存廃をかけると称して、関西電力の電力卸供給事業に参画し、阪神間市街地の真ん中に2002年運転開始(1基70万キロワット、将来2基140万キロワット)の石炭火力発電所建設を強行しようとしています。こともあろうに、兵庫県や神戸市などが、この「神鋼石炭火力発電所計画」を、震災復興に名をかりて「震災復興特定事業」に組み入れるなど、大企業本位の震災復興を進めています。
 一方で市民は、被災から4年目に入っているにもかかわらず、生活再建・住宅再建もままならない中で、優先復興された国道2号線や43号線、阪神高速道路、港湾幹線道路などの排ガス公害に苦しめられています。この地域には、いまでも公害健康被害補償法による公害認定患者が多数居住しており、大気汚染の悪化や環境破壊のおそれが大きい神鋼石炭火力発電所の建設が強行されると、さらに健康破壊・公害被害者が増えるのではないかと、住民に不安が広がっています。
 本日、この神鋼石炭火力発電所計画が強行されようとしている神戸に、火力発電所による環境破壊、健康破壊問題や地球環境を守る運動に取り組む、全国各地の代表が集まり火力発電所問題全国交流集会を行いました。  政府は、経済成長至上主義のもとでエネルギー消費は増え続けるとして、地球温暖化をはじめとする環境汚染に対する責任を放棄し、2010年には現在の1.5倍の28,510万キロワットにする電源開発計画をつくっています。この電源開発の多くを埋蔵量(7,000億トン)可採掘年数(石炭220年、石油40年、天然ガス60年)材料経費などから、化石燃料の中でもCO2排出量が多い、石炭を中心とした火力発電所でまかなおうとしています。
 昨年12月に開かれた国連の地球温暖化防止京都国際会議(COP3)では、地球温暖化に影響の大きいCO2など温室効果ガス削減目標が採択されました。
 石炭火力発電所は、CO2排出量が最も大きいため、ヨーロッパ諸国のドイツやデンマークなどは、石炭など化石燃料や危険度の高い原子力発電は建設を中止し、再生可能な太陽光、風力、水力、バイオガスなど、環境にやさしいエネルギー政策を進めています。
 日本は、こうした世界の流れに逆行して、これからもなお、大量に石炭火力発電所を建設しようとしています。現在でも全国各地の火力発電所がある地域で、環境や地域経済のゆがみ、生活や健康破壊を引き起こしています。これでは地域の環境も地球の環境破壊も進行するばかりです。
 火力発電所問題全国交流集会は、本日全国連絡会を結成し、世界の流れに逆行する日本の火力発電所増設計画を見直し、地球環境に優しいクリーンエネルギー政策に転換をすること。また、全国各地の火力発電所が引き起こしている諸問題の解決を求め、政府・要請行動をを共同して行うこと。全国各地の運動交流を継続して行うことなどを確認しました。
 私たちは、この運動をさらに大きく広げることを、全国民に呼びかけるものです。

1998年2月14日

火力発電所問題全国交流集会