兵庫県知事
貝原 俊民殿
1998年7月22日 |
火力発電所問題を考える市民ネットワーク |
世話人 |
和泉正人 |
(兵庫県保険医協会医師) |
井上准一 |
(神戸公害患者・家族の会) |
小牧英夫 |
(弁護士) |
小山乃里子 |
(神戸市議会議員) |
広岡豊 |
(兵庫県労働組合総連合) |
藤田晃 |
(甲南大学教授) |
森岡芳雄 |
(東神戸病院医師) |
神鋼石炭火力発電所建設計画に関して、兵庫県知事としての見解を以下の点について求めます。
- 神鋼石炭火力発電所建設計画に伴い、神戸市は独自で環境影響調査(バックグラウンド調査)を計画され、平成9年度予算において、国から4,000万円の資金援助を受けて実施していると聞いています。兵庫県はこの調査報告についてその内容を把握していますか。お答え下さい。
- 前項の神戸市独自の環境影響調査(バックグラウンド調査)は、神鋼石炭火力発電所建設計画の環境影響調査の判断材料として当然考慮されるべきものと考えられますが、兵庫県はどのように考えますか。お答え下さい。
- 前々項の神戸市独自の環境影響調査は、未だ地域住民に公表されておりません。これについての説明会、縦覧、公聴会の実施が、神鋼石炭火力発電所建設計画に関する環境影響調査書、環境影響評価(案)についての環境審議会の開催・討議実施に先行するべきものと考えます。神戸市独自の環境影響調査の説明会、縦覧、公聴会の終了まで、現在開催中の兵庫県の神鋼石炭火力発電所建設計画に関する環境審議会の中断を求めます。
- 神鋼石炭火力発電所建設計画の影響範囲は、周囲30km以上にも及ぶことが明らかで、神戸市のほぼ全域にわたって影響が認められます。これに対し、神鋼石炭火力発電所建設計画環境影響調査書、環境影響評価書(案)に関して、神鋼が実施した説明会の場所は、神戸市中央区、灘区、東灘区、芦屋市であり、影響を被る全ての住民に対して、その義務を果たしたものではないと考えますが、兵庫県として、どのように判断しているのか、見解と意見を求めます。
- 前項と関連して、説明会において神鋼は、質問については、会場での文書提出の形を取りましたが、全てに回答しないばかりか、回答内容も非常に不十分で、しかも回答に対する再質問は受け付けないなど、質疑応答の手続きを踏んでいません。神鋼石炭火力発電所建設計画環境影響調査書、環境影響評価書(案)に関して、地域住民、関係者に対して適正に説明会を実施したことにはならないと考えますが、兵庫県としての見解と意見を求めます。
- 前々項とも関連して、兵庫県が実施した公聴会については、芦屋市で実施された1回のみであり、又、公述人については、芦屋市在住者、その利益関係者に限定されていました。神鋼が提出した環境影響調査書、環境影響評価書(案)からみて、西宮市、尼崎市、宝塚市、明石市、川西市等の明らかに影響範囲にある全ての住民に対して、今回の兵庫県の態度は、公述の機会を保障したものとは言えず、早急に環境影響当該地域住民、関係者を対象とした公聴会の実施を求めます。また、その公聴会終了まで、現在開催中の神鋼石炭火力発電所建設計画環境審査会の中断を求めます。
- 環境庁にならい、現在開催中の神鋼石炭火力発電所建設計画環境影響調査書、環境影響評価書(案)に関する環境影響審査会の討議内容の全面公開を求めます。これまでの討議内容の即時公開と今後の討議内容の逐次公開を求めます。
- 兵庫県として、大気中の窒素酸化物の削減計画、炭酸ガス削減方針を持っていますが、今回の神鋼石炭火力発電所建設が実行された場合に、この計画と方針を堅守できますか。科学的根拠に基づいた説明と意見を求めます。また堅守出来ない場合には、兵庫県は、県民の健康を守る観点から建設反対を表明する意思があるのか、意見を求めます。
- 重金属やダイオキシンや環境ホルモンなど、新たな環境汚染物質が問題となっており、堆積や蓄積による影響も指摘されているにもかかわらず、神鋼の環境影響調査ならびに環境影響評価では調査されていません。神鋼に対して追加環境影響調査、評価を実施させるのか、神戸市に環境影響調査、評価を新たに追加実施させるのか、見解と意見を求めます。
- 神鋼石炭火力発電所建設計画環境影響調査と環境影響評価に関する事後調査計画書作成過程の公開と作成過程に県民、識者の意見が充分に反映されるように求めます。
- 神鋼石炭火力発電所建設に伴い、大気汚染分野だけでも、環境が悪化することが明確であり、呼吸器疾患を中心とした健康被害が拡大することが、県民・識者らから指摘されています。神鋼石炭火力発電所建設・稼働後に健康被害が発生した場合、兵庫県には、その被害補償実施と神鋼に操業停止を求める責任と義務が生じると考えますが、見解と意見を求めます。
以上
|