神戸市長
笹山 幸俊殿

1998年7月27日
火力発電所問題を考える市民ネットワーク
世話人 和泉正人 (兵庫県保険医協会医師)
井上准一 (神戸公害患者・家族の会)
小牧英夫 (弁護士)
小山乃里子 (神戸市議会議員)
広岡豊 (兵庫県労働組合総連合)
藤田晃 (甲南大学教授)
森岡芳雄 (東神戸病院医師)

 神鋼石炭火力発電所建設計画の経過に関して、神戸市長としての見解を以下の点について求めます。

  1.  神鋼石炭火力発電所建設計画に伴い、神戸市後独自での環境影響調査(バックグラウンド調査)を計画され、平成9年度予算において、国から4,000万円の資金援助を受けて実施されたと聞いています。実施年度が終了しているにもかかわらず、その実施調査内容が市民に公表されていません。進捗状況ならぴに実施調査内容の即時公開を求めます。

  2.  前項の神戸市独自の環境影響調査の説明会、縦覧、公聴会の実施が、神鋼石炭火力発電所建設計画に関する環境影響調査書、環境影響評価(案)についての環境審査会の開催・討議実施に先行するぺきものと考えます。現在開催中の環境審査会の中断と神戸市独自の環境影響調査の説明会、縦覧、公聴会の早急な実施を求めます。

  3.  神戸市独自の環境影響調査結果とそれに対する説明会、縦覧、公聴会での意見を神鋼石炭火力発電所建設計画こ関する環境影響調査書、環境影響評価(案)についての環境審査会の討議に反映するべきと考えますが、見解と意見を求めます。

  4.  神鋼石炭火力発電所建設計画の影響範囲は、周囲30km以上にも及ぶことが明らかで、神戸市のほぼ全域にわたって影響が認められます。これに対し、神鋼石炭火力発電所建設計画環境影響調査書、環境影響評価書(案)に関して、神鋼が実施した説明会の場所は、神戸市内では、中央区、灘区、東灘区であり、影響を被る全ての住民に対して、その義務を果たしたものではないと考えますが、神戸市として、どのように判断しているのか、見解と意見を求めます。

  5.  前項と関連して、説明会において神鋼は、質問については、会場での文書提出の形を取りましたが、全てに回答しないばかりか、回答内容も非常に不十分で、しかも回答に対する再質問は受け付けないなど、質疑応答の手続きを踏んでいません。神鋼石炭火力発電所建設計画環境影響調査書、環境影響評価書(案)に関して、地域住民、関係者に対して適正に説明会を実施したことにはならないと考えますが、神戸市としての見解と意見を求めます。

  6.  前々項とも関連して、神戸市が実施した公聴会については、灘区で実施された1回のみであり、又、公述人については、中央区、灘区、東灘区の在住者、法人に限定しています。神鋼が提出した環境影響調査書、環境影響評価書(案)からみて、今回の神戸市の行為は、明らかに影響範囲にある全ての住民に対して、公述の機会を保障したものとは言えず、早急に神戸市全地域住民、関係者を対象とした公聴会の実施を求めます。また、それの実施後まで、現在開催中の環境審査会の中断を求めます。

  7.  環境庁にならい、現在開催中の神鋼石炭火力発電所建設計画環境影響調査書、環境影響評価書(案)に関する環境影響審査会の討議内容の全面公開を求めます。これまでの討議内容の即時公開と今後の討議内容の逐次公開を求めます。

  8.  神戸市として、大気中の窒素酸化物の削減計画、炭酸ガス削減方針を持っていますが、今回の神鋼石炭火力発電所建設が実行された場合に、この計画と方針を堅守できますか。科学的根拠に基づいた説明と意見を求めます。出来ない場合には、神戸市は、市民の健康を守る観点から建設反対を表明する意思があるのか、意見を求めます。

  9.  重金属やダイオキシンや環境ホルモンなど、新たな環境汚染物質が問題となっており、堆積や蓄積による影響も指摘されているにもかかわらず、神鋼の環境影響調査ならびに環境影響評価では調査されていません。神鋼に対して追加環境影響調査、評価を実施させるのか、神戸市独自で環境影響調査、評価を新たに追加実施するのか、見解と意見を求めます。

  10.  神鋼石炭火力発電所建設計画環境影響調査と環境影響評価に関する事後調査計画書作成過程の公開と作成過程に市民、識者の意見が充分に反映されるように求めます。

  11.  神鋼石炭火力発電所建設に伴い、大気汚染分野だけでも、環境が悪化することが明確であり、呼吸器疾患を中心とした健康被害が拡大することが、市民・識者らから指摘されています。神鋼石炭火力発電所建設・稼働後に健康被害が発生した場合、神戸市には、その被害補償実施と神鋼に操業停止を求める責任と義務が生じると考えますが、見解と意見を求めます。

以上