神鋼石炭火力発電所建設着工に抗議する声明

1999年3月10日
石炭火力発電所問題を考える市民ネットワーク
世話人 和泉 正人 (兵庫県保険医協会医師)
井上 准一 (神戸公害患者・家族の会)
小牧 英夫 (弁護士)
小山乃里子 (神戸市議会議員)
広岡 豊 (兵庫県労働組合総連合)
藤田 晃 (甲南大学教授)
森岡 芳雄 (東神戸病院医師)
風呂本武敏 (日本科学者会議兵庫支部)

 私達は、住民、識者とともに神戸製鋼石炭火力発電所建設計画発表後、地球環境・地域環境に及ぼす影響などの調査・学習・研究、情報公開請求、環境影響評価書案への批判、縦覧意見書作成、公聴会公述、宣伝活動などに取り組んできました。
 現行の環境影響調査が、重金属、環境ホルモン、ダイオキシン、電磁波などの測定や土壌への堆積、生物への蓄積、人体への健康影響調査を義務付けてはいない、非常に不充分なものであることも指摘してきました。  神戸製鋼は、企業としての道義的責任を放棄し、法定の環境影響調査・説明しか実施せず、大気汚染では、言質を覆して、現況を上回る硫黄酸化物を排出する見込みです。
 こうした中で出された兵庫県、神戸市、芦屋市の環境影響審査会答申は、「おおむね適切」としながらも、これ以上の環境悪化をさせない対策を神戸製鋼に求めました。また、環境庁は、二酸化炭素の排出量を抑制すること、阪神地域が大気汚染物質の総量規制地域であることを指摘し、窒素酸化物・硫黄酸化物の年間総排出量を現状以下に抑制することを含んだ異例の意見書を出しました。
 これを受けた神戸製鋼による修正環境影響評価書には、具体的な対策や達成目標は何らしめされておらず、「努力する」としか書かれていません。修正環境影響評価書の説明を求める学習会への出席を拒否するなど、住民への誠意ある説明努力を放棄しています。にもかかわらず、神戸市は、神戸製鋼と大気汚染に関してのみの環境保全協定を締結し、近畿通産局は、建設許可を与えました。
 私達は、環境破壊と資源浪費につながるこのような神戸製鋼の建設強行に抗議するとともに、建設工事を即刻中止し、修正環境影響評価書説明会の開催、住民との対話・合意を基本とした建設の再検討、住民との環境保全協定の締結、進んだ環境対策の具体化、私達の求める補足環境影響調査の実施、情報公開を求めて、神戸製鋼、自治体、国などに働きかけていく運動を進めます。今後の進捗状況に応じて、法的手続きを含めた建設反対運動を検討していくことを表明します。

以上