神戸市長選挙立候補者へ要求書を送付
◎候補者からの回答に対する石炭火力発電所問題を考える市民ネットワークの見解 ◎各候補者の回答 ◇木村 しぎょうさん(前・日銀神戸支店長) ◇矢田 たつおさん(前・神戸市助役) ◇上野 泰昭さん(市民の会「そして神戸」代表) |
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神戸市長候補への要求書回答を公開 | |||||||
木村さん=神鋼火力発電所の公害発生を防ぎ、環境・市民の健康を守る立場鮮明に | |||||||
笹山市政を継承、大企業のいいなり市政で公害発生防げない=矢田さん | |||||||
2001年10月21日 石炭火力発電所問題を考える市民ネットワーク |
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10月13日に神鋼石炭火力発電所建設に関する要求書(別紙)を神戸市長選挙に立候補した5人の方々に郵送し、17日までにご返事をいただくようお願いしました。 期日までに返事をいただいたのは木村しぎょうさんだけでした。翌日電話で問い合わせを行い、1日だけ待って公開することにしました。1日遅れで矢田たつおさん、2日遅れで上野泰昭さんから返事が届きました。 返事の特徴は、 第1に全員が地球温暖化防止京都議定書の早期批准を約束しましたが、議長国日本政府の果たす役割の重要性を指摘する木村さん、市・市民・事業者の協働を強調する矢田さんとなっています。 第2に環境保全協定を見直して充実を約束した木村さん、協定を見直さない姿勢を明確にした矢田さん。 第3に市行政として必要な調査と情報公開を行うことを木村・矢田両氏が約束。 第4に、二人とも小児対象の疫学的健康調査の重要性では一致しているが、市独自で行う木村さんと国が行っているものでよいとする矢田さんと違いが出ています。 第5に、公害防止協議会の必要性を否定する矢田さん、定期的に開催すべきとする木村さんとの違いも明確です。 第6に、新在家南公園の神鋼石炭火力発電所の広報・宣伝施設建設について、市行政の大盤振る舞いと批判する木村さんと、神鋼の暖かい配慮で建設されると神鋼を擁護する矢田さんと対応が異なりました。 総合的に判断すると、木村さんは「市民の立場に立って行政を進める市政を貫く」市政運営を明確にしているのに対し、矢田さんは「現在の神戸市行政の枠内」でしか市政運営が出来ないということが明確になりました。特に矢田さんの返事は、市役所官僚が書いた文書と言う感じが強く、神戸市環境局との交渉を思い出す内容でした。 |
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【各候補者からの回答】 | |||||||
木村しぎょう候補 1、今、地球の温暖化防止については、国際的な関心が高まっています。97年に京都でまとめた「地球温暖化防止京都議定書」を日本がすぐに批准することが必要です。日本さえ批准すれば、温暖化ガス規制のための「議定書」は発効することができます。まず批准して、それから、アメリカに対しても批准を訴えるべきだと思います。このままでは、開催国日本が「議定書」を葬り去ってしまうことにならないとも限りません。 2、神戸製鋼所の石炭火力発電所については、硫黄酸化物が増加するほか、窒素酸化物や重金属など公害物質が排出されるなど、環境悪化のおそれがあります。 神鋼石炭火力発電所稼働に起因する環境の変化について、市の責任で必要な調査を行い、神戸市として、硫黄酸化物排出量を稼働直後から現状以下にさせることが必要です。そのためにも、その情報を常時公開することや、市民参加を保証すること、重金属、有害化学物質が含まれる廃棄物処理を下請け業者任せにせず、最後まで責任を持つことなどは当然のことであり、環境保全協定に盛り込むべき内容と考えます。 3、神戸市の責任で、市民の不安や疑問に答えうる、必要な調査をすべて行い、公開することが、環境悪化を防ぐ大前提だと考えます。指摘のような調査と公開を進めるのは当然です。 4、近年、ぜんそく患者が急増しており、大気汚染との関連が指摘されています。市として、大気汚染の影響と同時に疫学的健康調査を、特に小児について行い、その結果を公表するのは当然と考えます。 5、神戸製鋼所、神戸市、住民の三者が集まり、環境悪化が起きていないか、もし悪化したならどう対策を打つのか、定期的に協議することが必要です。「協議会」を開催することに異議はありません。住民の対象や開催する頻度などについては、住民の皆さんの声を聞きながら、決めていきたいと思います。 6、神戸市が、神鋼の所有地を24億円で買い取り、3億円かけて新在家南公園を整備。その中に、神鋼が石炭火力発電所の余熱を利用した健康増進センターを建設するという計画など、神鋼に対する大盤振る舞いはあまりにもひどいと思います。神鋼の施設は神鋼が、神鋼の負担で整備するのは当然のことです。 |
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矢田たつお 1、言うまでもなく、地球温暖化問題は全世界的規模に広がりを持ち、かつ、将来の世代に大きな影響を及ぼす、環境問題の中でも最も深刻な問題であると認識しています。 この問題に対処するため、1997年に京都で開催されたCOP3において、「京都議定書」が採択されましたが、その内容はまことに当を得たものと考えており、また、これを発行させるために早期の批准が是非とも必要であると考えています。 なお、地球温暖化問題は同時に私たちの日常生活や社会経済システムに起因する物が多く、対策の主人公は地方であり、まさに市・市民・事業者の三者です。 従って、市がリーダーシップをとって、三者の協働による対策を推進し、将来の世代に甚大な負の遺産を残すことのないよう、今を生きる私たちの世代でこの問題の解決の枠組みを構築しておく必要があると考えています。 2??、環境保全協定の中では、発電所の運転開始後、硫黄酸化物の年間排出量が1,100トン/年以下となるよう運転管理し、さらに現状程度となるよう可能な限り抑制に強めるものとするとされており、環境影響のより低減化を図るため、早期に協定の趣旨が達成されるよう指導していきます。 ?、事業活動に伴って生じた廃棄物については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により事業者が自らの責任で適正に処理しなければならないとされており、事業者に対して、法の順守、適正な廃棄物処理が履行されるよう監視、指導していきます。 ?、協定には情報公開に関する規定が設けられており、協定に基づく報告書、連続測定のモニター等を情報公開することとなっています。また、市民の皆さんからの紹介については適切に対応するよう定めています。規定に基づく情報公開、市民の皆さんからの紹介及びその対応が円滑に行われることにより、市民参加が確保された協定として運用していただきたいと考えています。 3、発電所稼働後においては、アセス条例に基づき事後監視を神戸製鋼に義務づけており大気、水質、水温等の測定調査が実施され、その結果の概要は条例に基づく縦覧の手続きにより情報公開されます。市においては、大気、水質、土壌汚染等の状況を的確に把握できるよう測定地点を配置し、調査を実施し、その結果についてはこれまで同様情報公開を行います。 4、小児喘息有症者の把握は、市民の健康を守り、快適な環境を確保すべき立場から重要であると認識しています。 しかし、大気汚染の影響に関する疫学的健康調査は、対象者数や実施個所等の点から自治体が独自に行うよりも、国が広域的・総合的な関連から実施する方が適当であると考えています。国においては、環境省が平成8年度から健康調査事業を実施しており、全国からのデータは環境省がとりまとめて公表しています。 5、環境保全協定では、製鉄部門と発電部門の全体で汚染物質の総排出量等を定めるなど環境保全に万全を期すことを定めています。また協定では、情報を積極的に公開し、それに対し誰もが紹介したり意見を述べることができ、これらの意見等に対しては、神戸市及び神戸製鋼所はそれぞれ適切に対応する旨が定められています。 従って、情報の公開や意見等を述べる場として、協議会をお考えとしたら、その設置の必要性は少ないのではないかと考えています。 6、新在家南公園は、地元要望に添って防災公園の機能を持つ近隣公園として都市計画決定され、不動産審議会の議を経て適正価格で用地買収したものです。その後、地元の皆さんから温水利用型健康施設がほしいとの要望がなされ、神戸製鋼所も地元の皆さんの要請に応え、神戸製鋼所の負担で建設・管理を行いたいとの意向が出されましたので、神戸市としても公園内にこれらの施設と設置することに同意したものです。 新在家南公園は現在建設中ですが、この公園が地元に愛される公園になるよう願っており、管理面で許される限り地元の皆さんの意向を尊重したいと考えています。 |
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上野泰昭
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神戸市長選挙立候補者への要求書 | |||||||
神戸市長選挙候補者
池上 あきら 様 上野 泰昭 様 木村 しぎょう様 矢田 たつお 様 吉田 順一 様
貴殿におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。 記 1、「地球温暖化防止京都議定書」及びその批准についての考えをお聞かせ下さい。 以上
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