「山桜・松・梅の木が伝えた真実−火力発電所の公害と反対闘争の10年の軌跡−を自費出版
火力発電所問題全国連絡会
1997年12月、気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3・京都会議)にあわせて、橘湾巨大石炭火電に反対する会は、広島県芸南地区火電阻止連絡協議会との共催で集会と展示「石炭火力発電所は地球を滅ぼす」を京都で開催しました。日本の温室効果ガス排出量の約3割を排出する火力発電所のさらなる大増設計画に警鐘をならすためでした。主催者の予想以上の参加者に刺激され、その場で各地の団体の連絡会を結成すること、情報交換を行うとともに問題点を明らかにすること、政府に共同で申し入れをすることを決定し、翌年2月、神戸で“火力発電所問題全国連絡会”を結成し、持ち回りの集会を始めました。
あれから、13年、現在、第一約束期間(2008年〜2012年)中ですが、電気事業者は、国内での電力事業で温室効果ガスを削減することを放棄し、海外から購入した二酸化炭素排出枠で電気事業者の削減目標を達成することを決定しています。そのうえ購入費用は、電力料金に上乗せし、電気事業者自身は何も責任をとらないまま推移しています。私たちの警告を無視し、石炭などを燃料とする火力発電所を増設し続けた結果です。電気事業者は、現在の供給構造のあり方を見直すべきです。
2010年10月、徳島県阿南市で、第14回火力発電所問題全国連絡会交流集会を開催し、闘いの記録「山桜・松・梅の木が伝えた真実─火力発電所の公害と反対闘争10年の軌跡─」を自費出版しました。各地の運動の記録を紐解くと、地球規模の環境問題が声高に叫ばれ、地球温暖化を始めとする問題に関心が高まる反面、地域開発を始めとする地域の環境問題が放置されていく現状が読み取れます。景気浮揚のためには、自治体の財政立て直しのためには、巨大火力発電所を建設し続けるしかないという昔ながらの構造が生きています。再度、地域開発の問題に焦点をあてるべきです。このような意味で、この冊子が、各地域の将来像を確かなものにするための基礎資料として役立てばと考えています。
山桜・松・梅の木が伝えた真実
─火力発電所の公害と反対闘争の10年の軌跡─
火力発電所問題全国連絡会編
1000円
地球温暖化に加えて、「公害のデパート」と呼ばれる火力発電所の問題に全国各地の立地地点、計画地点でねばり強く活動をつづけてきた運動団体からの報告。エネルギーを浪費しつづけ経済成長することでしか幸福になれないかのような錯覚に陥っている人類へ警鐘を鳴らす。
連絡先 〒729-2314 広島県竹原市忠海床浦3-18-8 松田宏明方
〒650-0023 神戸市中央区栄町通3−6−7 兵庫労連内 tel(078)335-3770
「山桜・松・梅の木が伝えた真実」もくじ
第一部 闘いを語る
碧南・日本最大の石炭火力発電所 衣浦臨海石炭火力発電所計画反対住民の会
和歌山・住金埋立地のLNG火力発電所建設問題 住金埋立地にLNG火力発電所をつくらせない会
御坊・御坊第二発電所建設問題 日高地域公害研究会
阿南・生命に対する一つの蛮行である 橘湾の巨大石炭火電に反対する会
三隅・構造的欠陥の石炭灰処分場を持つ火力発電所 三隅火電を考える会
大崎・世界中のどこにこんな発電所がありますか 広島県芸南地区火電阻止連絡協議会
舞鶴・石炭火電は何をもたらしたかを検証する エコネットまいづる
北茨城・建設中止になった発電所 北茨城の青い空と海を守る会
銚子・火力から風力へのなし崩し転換─千葉県銚子地域に見る電源開発の変遷─ 銚子市民運動ネットワーク
神戸・都市の真ん中にある石炭火力発電所 石炭火力発電所問題を考える市民ネットワーク
田辺・梅枯れをひきおこした火電 梅枯れ対策期成連盟
第二部 繋がり、見えてきたこと
ドラえもん型社会か、サツキとメイ型社会か
─第1約束期間(2008〜2012)中に考え深めたいこと─
火力発電所問題全国連絡会・闘いの記録